WPサイトの設計について(投稿タイプ編)

WordPress でウェブサイトを作るときに、サイトマップとワイヤーフレームをもらってからコーダーが何を考えるか?ということをまとめてみようとはじめた連載の2回目でございます。

「WPサイトの設計」について、ディレクタさんやWPを使いはじめたばかりの方へ参考になれば幸いです。コーダーの頭の中、のぞいてみる気分で読んでいただければと。

最初の記事はこちらです。

サイトマップの確認ができて、さて、サイト内の各ページをWPでどの投稿タイプに当てはめるか?ということを考えていきます。

投稿 or 固定ページ or カスタム投稿?

WordPressには、デフォルトで「投稿」と「固定ページ」という投稿タイプが用意されています。
「投稿」は「カテゴリー」と「タグ」を持っており、WPの本来の用途である「ブログ」に適した投稿タイプだと思っています。また「月別(年別、日別)アーカイブ」も作ることができます。
「固定ページ」は、ブログ記事のようにどんどん数を増やしていくものには向かない投稿タイプです。プロフィールのページや、企業サイトなら「会社概要」など、ページをどんどん新しく作って「更新」するのではなく、ページの内容そのものを書き直して長く使い、基本的に削除したりURLが変わったりすることがありえないページに使います。独自のテンプレートを選択して利用できたり、ページに親子関係を持つことができます。

規模の小さいサイトであれば、
「投稿」:ブログや更新情報
「固定ページ」:会社概要やお問い合わせのページなどなど
以上の、WPにあるデフォルトの投稿タイプを使うだけで間に合います。

そうではない場合、例えば、ブログやお知らせなどで「投稿」を使う他に、「実績紹介」や多数の「商品紹介」のページがある場合などは、固定ページでは間に合わないので「カスタム投稿」を必要に応じて設定して利用します。

「カスタム投稿」は、「custom post type」のことで、直訳すると「カスタム投稿タイプ」です。新たに「投稿タイプ」をWPサイトに設定して利用することができるのです。「投稿」や「固定ページ」も「投稿タイプ」の1種です。プラグインを利用したり、テーマファイルの functions.php に書き込んで設定し、利用することができます。

「カスタム投稿」にできること、できないこと

カスタム投稿は設定によって「投稿っぽい」振る舞いや「固定ページっぽい」振る舞い、どちらか選ぶことができます。ただし、「投稿っぽい」設定をしても「月別アーカイブ」のようなものを作るときは一手間かかります。また「固定ページっぽい」設定をしても、独自のテンプレートを選んで利用することはできない(はず)です。親子関係を持つことはできます。(設定例

また、カスタム投稿ごとに、オリジナルの権限を設定することができるので、「カスタム投稿だけを編集することができる人」などを設定することが可能になります。(設定例

その他のカスタム投稿の使い方としては、フロントエンドには投稿として表示しないで、管理画面でタイトルや値を入力するためだけのインターフェースとして利用することもできます。例えばトップページで期間限定で表示するお知らせを溜めておいたり、などです。(設定例

「カスタムタクソノミー(分類)」を使う

さっきから「カスタム」という言葉がたくさん出てきて混乱すると思いますが、要は「デフォルトのWPにはない何かを追加すること=カスタム」ですので「ああなんか独自に追加してるのね」と思っていただければと。(そして、「カスタム」が増えるほど、作業量やお見積もりは増える傾向にあります)
「タクソノミー(taxonomy)」は分類(学)のことだそうです。WPではデフォルトでは「カテゴリー」「タグ」というタクソノミーがありますが、これとは別に分類を追加したい場合に利用します。カスタム投稿で作った記事を分類したいときによく使います。
また、ひとつのカスタム投稿に対して、複数のカスタムタクソノミーを割り当てることができます。例えば、書籍紹介のカスタム投稿を作ったときに、「出版社」のタクソノミーと「判型」のタクソノミーとを作ってタクソノミーごとに一覧を作ることができます。また、検索機能を使うことで、「出版社」×「判型」で絞り込み検索をさせることも可能になります。

カテゴリーとタグの違い

あと、WPのタクソノミーにはカテゴリー型(階層を持つ)とタグ型(階層を持たない)の2種類があります。階層を持つかどうかが大きな違いです。階層を持つ「カテゴリー」は「哺乳類で霊長類で人間で女性」というように、大きな分類から小さな分類へ分けていくことで情報を探しやすくする分類です。一方でタグは、その物を特徴付けるキーワードのひとつひとつです。ツイッターとかインスタのハッシュタグのようなもの、というとわかりやすいでしょうか。例えば私のことをタグ付けするなら「アラサー」「女子」「コーダー」「ウェブ屋」「フリーランス」「既婚」「猫好き」「林檎派」・・・などでしょうか。タグは多すぎたり一般的ではない名称を用いるのは好ましくない感じですかね。カテゴリは一般的でないラベルであっても、上から辿っていくことで文脈によって理解できたり、ユーザーに学習させることもできるかもしれないです。

ありそうな実際の例について

よくあるサイトの機能をWPでどう作るか、さらっと考えて見ました。参考になれば幸いです。

スタッフのブログを作りたい:「投稿」でスタッフ毎にユーザーを割り当てて、スタッフの記事の一覧はauthorの一覧を利用、など。もしくはマルチサイト。

お知らせ・更新履歴を表示したい:月ごとや年毎のアーカイブページを特に必要としないのであれば、「投稿」ではなくカスタム投稿でも良いかと。

イベント情報:一覧と詳細ページがあればいい程度であれば、カスタム投稿を設置し、分類が必要であればカスタムタクソノミーを設定。ただし、カレンダー表示やイベントのお申し込みなどの要件がある場合はイベント管理のプラグインの方が色々揃っていて便利かも。

実績・事例集を作りたい:カスタム投稿を作り、分類が必要であればカスタムタクソノミーも設置。「地域別」「年度別」「種類別」など複数の分類が必要になる場合が多いと思います。この時「ある地域の、ある種類の記事を一覧にしたい」など、複数の分類にまたがった記事の一覧を表示する要件がある場合は、「絞り込み検索」というふうに捉えて、タクソノミー一覧の文脈ではなく、「検索結果の一覧」として処理する考え方にするほうが無難だと思います。

まとめ

WPの投稿タイプはそれぞれに特徴があるので、それを理解し、サイト内の各ページを適切な投稿タイプに当てはめることで、設計や、運用も分かりやすくなると思っています。
サイトマップをプリントして、各ページを何の投稿タイプに当てはめるかせっせと書き込みます。それが済んだら、固定ページの一覧や、必要なカスタム投稿やカスタムタクソノミーを、エクセルとかに一覧に書き出すと、必要な分類や各分類のラベルを確認してもらうのに役立ちます。いくつか例を書いて、残りはディレクタやクライアントに穴埋めしてもらうのもいいでしょう。
その時、それぞれのページのURLについてもメモしておくのがいいです。
次の記事ではそのURLについての話です。

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