WPサイトの設計について何を考えているかについて書いてきました。
全てではないですが、基本的なことは拾えたのではないかと思います。
ここまで考えたことは、要件定義、サイトマップ、ワイヤーフレームをもとにして考えています。これの他、コーダーの仕事としては、デザインカンプに従ってデザインデータを切り出し、HTMLやCSS、JSを書く仕事があります。つまり、その仕事に入る前に、これだけのことを考えて準備して実装に手を動かしている、ということになります。それを考えると、WPサイトの見積もりは30万円〜という見積もりも、決して高いと言えないと思うのです。
デザインを当てていく作業の前に、もう少し補足しておきたいことについて簡単に書いておきます。
よく使うプラグイン
最近作ったサイトからの抜粋ですが、ざっくりこんな感じです。
これまでの連載で考えてきたことをまとめていくと、必要なプラグインもほぼわかってくるので、こちらもどこかに一覧にしておきます。
・カスタムフィールドのプラグイン
・カテゴリーやカスタムタクソノミーのタームを並び替えるプラグイン
・バックアップのプラグイン
・記事を複製するプラグイン
・管理画面のメニューを変更するプラグイン
・管理画面にページのIDを表示するプラグイン
このあたりのものは、どんなサイトを作る時も必要となるので
管理画面に一工夫
デフォルトの管理画面の左メニューに、よく使う項目などを追加しておくと、便利ですし、管理者権限で見た時のメニューと、編集者権限で見た時のメニューを確認して、編集者権限のユーザーが自分の作業に必要なメニューを間違いなく選べるようにしておくと親切です。必要かどうかディレクタと画面を見ながら相談できるといいでしょうし、デザインをあてる作業をする前に、今までの連載で考えてきたこと、まとめてきたことを先にWPの管理画面内でサクサク実装しておいて、こんな感じの管理画面になりますが、とディレクタに先に示しておくなどして、意見をもらうのもいいかもしれません。直接クライアントと話すことができるのなら、画面キャプチャを送って、実際に作業する人に見てもらい、作業内容を想像できるかどうか、できそうかどうか、確認してもいいと思います。完全に出来上がってから最終的に確認してもらう方法以外では確認できない場合もあると思いますが、可能なら早い段階で確認してもらうことで、思ってたのと違う、ということを回避できるのではないでしょうか。
マニュアル作成とレクチャーについての提案
管理画面のあるサイトを作った場合にどのように使うのかをわかってもらうための作業が必須になります。これまでもWPを使ってサイトを作っていたクライアントさんであれば多少は省略が可能かもしれませんが。その時に、制作者が一方的にマニュアルを作って渡した上で、実際の画面を見ながらのレクチャーやトレーニングを行うのが、スタンダードな方法だと言えます。結構大変な作業ですし、客先へ出張も必要なので、1人日では済まないでしょう。私は3日ぐらいの作業量+出張費と見積ります。
そのマニュアル作りを、クライアント自らに任せる方法はないだろうか、というのが提案です。クライアントの社員の方2名ぐらい(実際に作業を行う方とその上司など)にレクチャーを受けてもらい、覚えてもらったことを、自ら書き起こしてもらって、レクチャーを受けない別の同僚に伝えるための資料として、マニュアルを自分で作ってもらうのです。その方が、トレーニング効果が上がると思います。教えてもらって聞いているだけではわからなかったことも確認できると思います。
「なんでわからないの」「何度も言ってるじゃないか」は禁句
教わるものにとって、これらの言葉は、萎縮させられるもの以外の、何ものでもないですし、険悪ムードにあること間違いなしなので、絶対に言わない、が大事だと思います。むしろ、いつも同じところでミスがあったり、忘れられる、わからないという確認が何度も来るのであれば、多分設計に問題があります。管理画面に忘れやすいことのメモを表示するようにしたり、手順についてのアドバイスを考えたり、入力方法を変えるなどの対策をした方が楽になる場合もあると思います。なので、上記の言葉を言いたくなったら、設計を考え直すヒントかな?と思う方がいいです。責められているのは設計した「あなた」ではなく、設計結果ですので、サクサク直してしまいましょう。また、設計で何を考えたか書いておくことで「こういう部分が問題になったから次から注意だな」と赤ペンを入れておくことだってできるのです。
デザインをあてる時に考えること
これはもう、別の連載ができるボリュームになるので、詳しいことはまた次の機会、です。一点だけ、昨今のウェブサイトデザインでポイントになる、レスポンシブデザインのことです。PCでもスマホでも「なんとなくいい感じ見えるように作る」方法として、最近のサイトでは実装して当たり前のようになっています。しかし、両方のデザインをしっかりデザイナーが作れるほど予算があることは稀だと思います。PCの見た目か、スマホの見た目どちらかをしっかり作って、他方は成り行きで、というのがよくあるパターンです(少なくとも私にくる依頼ではそういうのが多いです)。
そのような場合に何を考えるかというと、メディアクエリでのCSSの置き換えだけで要件がまかなえるかどうか?ということと、スマホ(縦にしてみるとき・横にしてみるとき)、タブレット、PC(ノートパソコンかデスクトップか高解像度ディスプレイ)の、どのぐらいまで細かく対応するか?です。細かい対応が必要になればなるほど、CSSの調整が細かくなるので、作業量が増えます。また、スマホ用に別のテンプレートを用意することも可能で、メディアクエリと組み合わせながら、HTMLの出力内容自体を変更して、パフォーマンスや要件などに対応することもあります。それも、カスタマイズする場所が増えれば増えるほど作業量が増えます。よくあるのは、ナビゲーション周りのみPCとスマホで別のものを使ったり、トップページだけ変えたり、という部分的な対応です。
まとめ
手を動かす実際の時間の他に、考えて判断していることの多さ、わかっていただけますでしょうか?これらの知識を共有することで、ディレクタやデザイナと一緒に考えることができたり、それによって成長したり、より良いサイトを効率的に作れるようになればなあと、願っております。